細谷雄太は違法大麻を不法所持していた
細谷雄太は、違法大麻を肌身離さず、不法所持していた。
細谷とその仲間たちは、常習的に大麻を吸っていた。なぜそのようなことが断言できるのかというと、彼の作る楽曲のなかですべてが告白されているからだ。ためしに一曲聴いてみるといい。美しいメロディ・ラインに乗せて、「毎日毎日スモークするマリファナ」とか、「俺が育ててる、俺と仲間達で育ててる」とか、「違法大麻、不法所持してる肌身離さず」など、大麻を扱う者としての心構えからきまる様子まで、あますことなく韻を踏んで語られているから。それは、全国の警察に突きつけた挑戦状のようなものだった。
細谷は紛れもなく不良だったが、語った言葉に嘘がない男だった。だから彼は本当に毎日スモークしていた。ついでに歌詞カードには、「熊谷で育ててる」と場所まで明記されていたので、埼玉県警が彼らの犯行現場を押さえることは、奈良公園に行って鹿を見つけるくらい簡単なことだった。細谷とその一行は、捕まった瞬間こそ申し訳程度の『申し訳なさそうな顔』を浮かべたが、保釈されるとまた懲りずに毎日スモークを始めた。新しい曲が発売されるたびに県警は犯行の全貌を知り、歌詞カードをみながら、大麻取締法違反の疑いで逮捕しにいかなければならなかった。違法行為だとはいえ、細谷の大麻に対する想いには揺るぎない信念があったし、彼の書く歌詞には群衆の心を掴んで離さない訴求力があった。曲を出すたびに彼らは有名になり、大麻それ自体を神格化する一派さえも現れるようになった。
そのような状況に危機を感じた警察は、(まるで反省のない)細谷たちを逮捕した際に、各局の全国放送で大々的に報道することを決めた。もっとも素行の悪そうな写真を選び、麻薬の密売人というテロップをつけ、視聴者に《麻薬中毒者の末路》という印象を植え付けようとした。しかし、細谷たちを知らない者からすれば、そんなニュースは知らない国で行われている紛争のように思えたし、逆に彼を知る者にとっては、「やはりパンダは笹が好きでした」とか、「政治家が公約を果たしました」というようにしか響かなかった。むしろ報道されたことで新規のファンが増え、かえって細谷の思想を広く知らしめることになってしまった。さらには数日で不起訴になったため、細谷からすれば署でカツ丼をご馳走になったうえに、ゴールデン・タイムに無料で広告を打ってもらったようなものだった。人を陥れようとしても上手くいかないのは世の常なのかもしれない。
コメント3件
タイムリーなことに、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのボーカルのアンソニー・キーディスの自伝を読み終えたところでした。自伝の中身は9割ほど麻薬の話と女性関係で、読み終えた頃にはすっかり麻薬中毒者さながらに麻薬に対して免疫が出来上がっていました。なので、薬物に対しても、細谷雄太さんに関しても興味が抑えられず、検索しているうちにCHILLAXYチラクシーという日本の会社が出している商品に目が止まりました。CBD(カンナビジオール)の存在を知り、その効能に興味が湧き、試してみることに。主人が不眠症やら不安症やらで既に長年薬中なので、別の物で薬中になってもいいかなという気持ちもあり。即効性は無かったものの、リラックスは出来るようで吸う回数を今は体調に合わせて試しているところです。この作品を機に、また少し違う世界が広がりました。世の中、偏見の目で埋もれてしまっている物がまだまだたくさんあることでしょう。今後の作品もまた楽しみにしています。
Googleとは便利なもので、細谷氏なる者のプロフィールがこの画面の下に出てきました。
“絶対に大麻なんかやってなさそうなヤワな見た目のやつ”って思ったら全くの別人で、本人(とその仲間たち)は震えるほど怖かったです。
(”見た目で人を判断するな“と言われたのに、お母さんお父さん先生ごめんなさい。)
ひとつドヤ顔するならば、彼の曲はプレイリストに入っていました。
だけど”人“に注目はしたことなかったから、ナナシさんの目の付け所にどうしようもない悔しさを覚えております。
細谷氏やナナシさんに比べたら、なんて自分は平凡でつまらないヤツなんだ…だからと言って道をはみ出す勇気もなく…悔しくて涙が出ます。
わたしごとですが、わたし末っ子で生まれまして、兄は嬉々としながら細谷氏とお仲間が常に所持するアイツを裏庭でせっせと作っていました。
おそらくその末に生まれてしまったがため、個性の強い兄たちに個性や度胸というものは全て搾り取られたのだと思います。いや、そう思わせてほしい。
せめて音楽を聴きながら妄想のなかでだけでもイケてるヤツになりたい。どうか。
世間的にはNGとされていることにここまで分かりやすく立ち向かえるというのは稀有なことなので、どのように育てばこの強靭な精神を得られるのかが気になります。
それはさておき、1行読み進めるごとに笑いが込み上げるので、おしゃれなカフェで怪しい客になってしまいました。おもしろいことを言うなら先に一言添えてください。